二〇〇六年 三月 十八日(土)

旧暦 二〇〇六年二月十九日 友引


手紙その1

ばあちゃんへ

ばあちゃんて
空みたいだなって思う

意味わかるかな

ずうっとずうっと青いって感じ
透き通ってるわけ

気持ちがいいのにさ
なんかよ
泣きたくなる
なんでかわからんけど

ばあちゃんはじいちゃんと別れてから
女手ひとつでとうちゃんやおじさんおばさんを育てたんだよね

なんで

いつも自慢するさ
なんでもどんな仕事でも
二つも三つもやったって
貧乏だったのに大学まであるかしたって
この辺では
気が強いって有名だったって
何回も聞いてるよ

「だから おばあちゃんを大事にしなさい」

って自分でいって
俺たちに笑われるんだよね

じいちゃんの最後のことばが

「アメリカ軍は必ず上陸してくるから 子供たちの手を絶対離さないでくれ 頼んだぞ」

そういって死ににいったんだよね

毎年 慰霊の日になったら
俺なんかに
泣きながら言うさ

毎年毎年 同じ泣き方で言うさ

じいちゃん
南方でしんだから
骨入ってないんだよね
その辺の石ころ拾って入れたんだっけ

郵便配達員だったってね
あの時 郵便配達員ってすごかったんじゃない

赤紙 来た日の話もなんとなく覚えてるよ
泣いて泣いて
また次の日も泣いて

ずうっと泣いてたんだよね

鉄のかたまりが
ビュンビュン飛んでくるのに

ばあちゃんは
長男のとうちゃんの手を引き
次男のおじさん背中におんぶして
ちっちゃかったおばさんを抱っこして
やんばるまで歩いて逃げたんだよね

今でも
親戚のだれだれは
おなかすいてるときに
食べ物を分けてくれなかったって
堂々とぐちるからな
ちょっとへんなー

でも
いいよ 全然


やんばるまで想像できんくらい遠いさ
おなか空かせながら
じいちゃんの言うこと一生懸命まもったさーね

どんだけの
アレだったのかな

だから 今
俺がいるからさ

っていうか
ばあちゃんさ
子供どころか 
孫とかひ孫の手もつかまえてひっぱってるはずよ

じいちゃん笑ってるはず

ありがとね

足に水たまってるさ
こぶしくらいなってるのに
畑 いかんほうがいいんじゃない
しかも
しぶい とか やまいもとか
あんまり俺なんかが食べないさ

だってよ
料理のパターンが
2パターンくらいしかないのに

でも
分かるよ

昔はこれがごちそうだったんだよね

足 直したいね

走ってるばあちゃん見てみたいな
ミニスカートとか

うそさ

でも
テレビみながらタレントが短いスカートはいてたら
「女だのに恥ずかしい」
って必ずいうよね

なんか
ばあちゃんらしい

・・・長いのでつづく。

投稿者 Melody : 2006年03月18日 21:45


コメント


ひ〜ぷ〜さん こんばんは。続きが気になります…… 沖縄のおばぁは強くて優しいです。 私のおばぁも おじぃが体が弱くて働かなかったので、工事現場やウージトーシ、畑仕事とかの重労働してお母さんや叔母さん伯父さん育てました。だから、体は細くてちっこいのに手はゴツくてでっかいです。おばぁは、恥ずかしいさぁ〜って言います。けど、私はおばぁの人生が詰まってて大好きです。 おばぁ、 愛しい。

投稿者 もぉもぉ : 2006年03月18日 22:43



アチュル7625です。 亡くなった父方のおばぁの事を思い出しました。 その頃自分探しの真っただ中で、故郷もおばぁの事も 考えず10年位本土で過ごしてたオレはある日 仕事中に、母からおばぁが亡くなった事を聞きました。 なんと103歳でした。全くボケずに、歯も全部自分の! 仕事中にもかかわらず、泣きまくり、途中から、早退しました。 「自分は何をやってんだろう・・孫の顔はおろか自分の顔すら  何年もおばぁにみせてない。自分がいいだけで、全然孝行  してない・・・・自分勝手な生き方だ!」 それから、それまでのいい身分の仕事を捨て沖縄に戻りました。 おばぁに言い残した事を伝えたかったから。 ひーぷーわかってると思うけど、おばぁ大事にしてね。 いなくなったら、後悔しても何も伝えられないし、 何もしてやれないから。 母方のおばぁはまだとても元気なんで、大事にします。 明日、嘉手納に会いに行こうかなー。 良い日曜を!!

投稿者 アチュル7625 : 2006年03月18日 23:09



さっきテレビで聞いた 「次に出会う人は、今までの人生を肯定してくれる人」って言葉が、 「全ての出会いも別れも、良い事も悪いと思う事も何ひとつ無駄じゃない」って自分の気持ちと重なって、温かくなりました。 自分を産んでくれた人の人生、その人を産んでくれた人の人生…、全部今に繋がっていて、大きな意味の「愛」だなぁと思いました。今の自分も、未来に「愛」を繋げるといいなぁと思います(*^-^*)…文字にするとクサイですね(-.-;)あはは。

投稿者 てつこ☆ : 2006年03月18日 23:41



心温まる良い手紙ですね。 胸が苦しくなるほど、愛に溢れる言葉がいっぱいで 涙が止まりませんでした。 オバーは、辛いこともあったと思いますが、護りとおしてきた ものは、オバーの背中をちゃんと見て育ってるから。。 その背中があったから、ひーぷーさんがこんなに優しい手紙を書けるんだよね。これから、続き読みます。

投稿者 ミツバチ : 2006年03月19日 23:27



トラックバック


このエントリーのトラックバックURL:
https://hip.nameneko.jp/cgi-bin/mt-tb.cgi/38



コメントしてください





保存しますか?


 
著作権表示 二〇〇五 全ての権利は真栄平仁の癒汰志駆ぶろぐが所有します。