二〇〇六年 三月 十八日(土)
手紙その1
ばあちゃんへ
ばあちゃんて
空みたいだなって思う
意味わかるかな
ずうっとずうっと青いって感じ
透き通ってるわけ
気持ちがいいのにさ
なんかよ
泣きたくなる
なんでかわからんけど
ばあちゃんはじいちゃんと別れてから
女手ひとつでとうちゃんやおじさんおばさんを育てたんだよね
なんで
いつも自慢するさ
なんでもどんな仕事でも
二つも三つもやったって
貧乏だったのに大学まであるかしたって
この辺では
気が強いって有名だったって
何回も聞いてるよ
「だから おばあちゃんを大事にしなさい」
って自分でいって
俺たちに笑われるんだよね
じいちゃんの最後のことばが
「アメリカ軍は必ず上陸してくるから 子供たちの手を絶対離さないでくれ 頼んだぞ」
そういって死ににいったんだよね
毎年 慰霊の日になったら
俺なんかに
泣きながら言うさ
毎年毎年 同じ泣き方で言うさ
じいちゃん
南方でしんだから
骨入ってないんだよね
その辺の石ころ拾って入れたんだっけ
郵便配達員だったってね
あの時 郵便配達員ってすごかったんじゃない
赤紙 来た日の話もなんとなく覚えてるよ
泣いて泣いて
また次の日も泣いて
ずうっと泣いてたんだよね
鉄のかたまりが
ビュンビュン飛んでくるのに
ばあちゃんは
長男のとうちゃんの手を引き
次男のおじさん背中におんぶして
ちっちゃかったおばさんを抱っこして
やんばるまで歩いて逃げたんだよね
今でも
親戚のだれだれは
おなかすいてるときに
食べ物を分けてくれなかったって
堂々とぐちるからな
ちょっとへんなー
でも
いいよ 全然
やんばるまで想像できんくらい遠いさ
おなか空かせながら
じいちゃんの言うこと一生懸命まもったさーね
どんだけの
アレだったのかな
だから 今
俺がいるからさ
っていうか
ばあちゃんさ
子供どころか
孫とかひ孫の手もつかまえてひっぱってるはずよ
じいちゃん笑ってるはず
ありがとね
足に水たまってるさ
こぶしくらいなってるのに
畑 いかんほうがいいんじゃない
しかも
しぶい とか やまいもとか
あんまり俺なんかが食べないさ
だってよ
料理のパターンが
2パターンくらいしかないのに
でも
分かるよ
昔はこれがごちそうだったんだよね
足 直したいね
走ってるばあちゃん見てみたいな
ミニスカートとか
うそさ
でも
テレビみながらタレントが短いスカートはいてたら
「女だのに恥ずかしい」
って必ずいうよね
なんか
ばあちゃんらしい
・・・長いのでつづく。
投稿者 Melody : 2006年03月18日 21:45
コメント
投稿者 もぉもぉ : 2006年03月18日 22:43
投稿者 アチュル7625 : 2006年03月18日 23:09
投稿者 てつこ☆ : 2006年03月18日 23:41
投稿者 ミツバチ : 2006年03月19日 23:27
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